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おちゃらけ王

おちゃらけ王 (メディアワークス文庫)おちゃらけ王 (メディアワークス文庫)
(2011/02/25)
朽葉屋 周太郎

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あらすじは…
かつては無類の馬鹿者だったが、いまは怠惰な大学生に成り果てていた名雪小次郎。幼少からの腐れ縁「魔王」の罠にはまり、夏祭りで賑わう街中を、恐ろしい追っ手たちから無我夢中で逃げ回ることになる。その逃亡劇の果てに二人を待っていたものは――?

疾走感あふれるストーリーと、テンポよく転がるコメディが完全に融合。どこまでも馬鹿で奇妙奇天烈で爽快な青春グラフィティ! 第17回電撃小説大賞<メディアワークス文庫賞>受賞作。

みたいな感じです。



うおッ。これ面白ッ。


いやいやいや。相変わらずのMW文庫賞の安定感。これは素晴らしい。

最初は文体や語り口を読んで「これは…キツイんじゃないか…?」とか思っていたのですが、読み進めるにつれてそんなの全く気にならなくなりました。

この作品巷では森見さんの作品に似てると言われているようなんですが、正直言うと森見さんの文体苦手なんですよ。

だからおっかなびっくり読んでいたんですが、確かに似ている物のすでに別物って感じ。

森見さんと同じならこんな早く読めるはず無いですし。


何と言ってもこのスピード感とおちゃらけ感がたまらない。

馬鹿しかいないある街で、馬鹿二人が馬鹿な住民たちを巻き込んで馬鹿騒ぎをする。たったこんだけで表せるストーリーなのに面白い。だからこそ面白いのかな?

そして何をやっているかと言われれば祭の中で鬼ごっこをしている、としか言いようがないんですよね。いや本当にそれだけだし。

まあ、そこで一つ加わったアクセントが『特技』。…特技?

登場人物たちの一人一人が使うことの出来る一人一人の特別な能力。それを何故か『特技』という彼ら。

速読の達人がそれをするように、素潜りの達人がそれをするように超常の能力をいとも簡単に使ってしまう。

だからこそ何も説明もないし、する気も無いんだけど、正直これを読んでいるとそんなことに突っ込む余裕なんて無くなります。

んー。概念と言い、戦い方と言い、雰囲気はジョジョのスタンドバトルに近い物はあるかな…?

そんな彼らの『特技』をふんだんに使用した街中巻き込んだ鬼ごっこ。

これがまたたまらない!!



そして、登場人物たちの魅力もこの作品の魅力の一つ。

って言うかこれが無ければこの作品は成り立っていないんじゃないかな?

やっぱり一つのテーマって言うか祭で鬼ごっこするなんて物を1巻通してやり切るなんてキャラの魅力が無ければ分からないことでしょうし。

しかし、この鳴鼓宮に住む連中の馬鹿っぷりと言うかおちゃらけっぷりが凄すぎて凄すぎてもう。

魔王や小次郎はもちろんのこと。住民の一人一人がこんな大騒ぎが大好きって言うんだから救いようがないw。

そんなおちゃらけ住人の中でもおちゃらけきってる二人が小次郎と魔王。

この二人の逃走劇は見ていていっそ清々しい物があるくらいおちゃらけきってる。

あっちに行けば住人の飯を奪って食い、こっちに行けば可愛い女の子をナンパする。それも逃げてる最中に。

もうそんな状態を見る度に「お前らもっとちゃんとやれよw。だが良いぞもっとやれ」となるんだから不思議なもんで。そうなったらもう彼らの世界に連れて行かれちゃってます。

この彼らの世界に巻き込まれて一緒に祭で逃げ回ってるって感覚がまた良いんですよ。


妹とニーテンゼロ、厨女史もまた素敵。

特に厨女史と小次郎との信頼、と言うか互いに想う気持ちが良いんですよね。

「だから名雪さん。私がもし債鬼として二人を捕らえたら、私の思いというか、そういうの、受け止めてもらえますか?」

巻き込まれたんなら素直に捕まってしまって、結ばれたらいいじゃないか。と思った自分が恥ずかしくなるこの後の小次郎の独白。

そんなことで結ばれることを望むような女性なら自分は彼女を想っていないし、そんなことをする人間なら彼女は自分のことを想ってくれはしない。そう語る小次郎。

これがおちゃらけ王の信念なのか…、と思いましたね。

どれだけおちゃらけきっても、ふざけていても、馬鹿をやっていても彼らは人生を全力で生きている。全力で来る物には全力で向き合う。その結果が逃げると言う結果だとしても。

だからこそ、こんなにもおちゃらけきっているのにかけらも嫌いになることは出来ないのかな?とそう思ってしまいましたね。



ラストもまた良かったですしね。彼らに相応しいラストだったように思いますよ。

それぞれの関係にもしっかりとスポットを当ててくれましたし、鳴鼓宮祭の馬鹿騒ぎの幕引きには打って付けの最後でした。

小次郎と魔王なんかは分かっているのにグッと来てしまうし、笑ってしまいましたよ。

「遊ぼうぜ!」
「いいだろう!」


彼らの間にはこれ以上の言葉は不要。これだけでおちゃらけるには、馬鹿騒ぎするには十分。

それを凄く感じる二言だったなぁ…


最初の導入部の言葉における言葉は真実。

「おちゃらけ」。この言葉の本当の意味を知るためには『彼ら』を見れば瞭然として知れること間違いなし。

最初から最後までおちゃらけきって、馬鹿馬鹿しい騒ぎを繰り広げる一風変わったファンタジー。

何も考えずに馬鹿騒ぎをしたいのならばこれを読めばその願いは満たされること請け合いです。




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シアター! 2

シアター!〈2〉 (メディアワークス文庫)シアター!〈2〉 (メディアワークス文庫)
(2011/01/25)
有川 浩

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ようやく発売シアター第2巻。
いやー…。長かった…w。1年ぶりかな?


あらすじは…
「2年間で、劇団の収益から300万を返せ。出来ない場合は劇団を潰せ」――鉄血宰相・春川司が出した厳しい条件に向け、新メンバーで走り出した『シアターフラッグ』。社会的には駄目な人間の集まりだが、協力することで辛うじて乗り切る日々が続いていた。
しかし、借金返済のために団結しかけていたメンバーにまた亀裂が! それぞれの悩みを発端として数々の問題が勃発。旧メンバーとの確執も加わり、新たな危機に直面する。そんな中、主宰・春川巧にも問題が……。どうなる『シアターフラッグ』!?

みたいな感じです。


いや…。良いな…。やっぱりこれ大好きだ…。

前巻で素晴らしいスタートを切ってくれたこのシリーズ。そして1年空いて出版されたこの続刊。

最高です。いやたまらないやっぱり。

有川さんの作品としては珍しく「恋愛」ではなく「仲間愛」に重きを置き。そして、『陸海空三部作』や『図書館シリーズ』とは違い、ファンタジーな設定ではなく極めてリアルに「金」の問題に向き合ってる作品でもあるこのシリーズ。

とは言え相変わらずのキャラクターたちの素晴らしさや、物語の展開などの上手さは健在。

そして、今まで読んできて分かったことではありますが、本当に取材をしっかりとされていらっしゃる…。いや流石です有川さん。


そしてね…。登場人物にモデルがいて、そのモデルが大好きな声優とあればまた一つ視点が変わってくると言う物…。

…千歳が可愛すぎるんですがどうすれば良いんでしょうか!?

いやいやいや。1巻のあとがきで彼女のモデルが千歳だと言うことはしっていましたよ?

でもね?その頃はまだ今ほど沢城みゆきさんのファンじゃありませんでしたからね?でもね?今好きな声優挙げろって言われれば1,2を争いますよ?

そんな彼女がモデルな上に、あの有川さんが描くヒロインなんですよ?可愛くないわけが無いじゃないですか?

何て言えば良いんでしょう。読んでてもちろん惹かれるんですが、それだけじゃなくて仕草や言動を見る度に「ああ。みゆきちもこんな感じなんだろうな」って思うとまた物語に引き込まれるんですよね。

いや良い作品だホント。色んな意味で良い作品だよ。



前巻では『シアターフラッグ』の「解散」と「旗揚げ」を描いたこのシリーズ。

今巻では一人一人の劇団員にスポットを当ててより一層物語に引き込んでくれましたね…。

何度も何度も思う事なんですけどね…。やっぱり有川さんの描くキャラクターたちは魅力的すぎますよ。

とまあ、そんな一人一人を深めるって形のため雰囲気は連作短編って感じ。



もうゆかりと小宮山が素敵すぎるんですよね…。

特にゆかり。彼女みたいな関西弁話すキャラクター大好きなわけでして、胸の奥にしっかりとした芯を持っているキャラクターも大好きなんですよ…。

あの気の強さ…。そして心の弱さ…。いやたまらん。

そして、それを影で支える小宮山の格好良さ。いやたまらん。

そして、あの、

「そこは付き合ってくれって来るとこちゃうんかい!」

これを見たときもうウキャー!!って悲鳴上げてしまいましたよ。

…ゴメン盛りました。

でも、このセリフは素敵だよなー。マジで悶えましたよもう。

やっぱり関西弁って素敵だー。有川さん自身が大阪住んでるからとても自然だし、素敵なんだよなー。

有川さんの関西弁キャラを見ているとまたさらに関西弁好きになるんですよね…。


んでやっぱり一番印象的だったのは千歳。

自分が「声優」として入っていて、自分から周りのみんなに馴染むことが出来ないと言うか馴染まない彼女。

そんな彼女がスズへ思いっきり心の丈をぶつけるのを見ているとハラハラどころか嬉しくてにやけてしまいました。

あの出来事があってまたさらに『シアターフラッグ』は大きく、そして力強く結束したな。そんな風に感じますね。

って言うか千歳強いですよねw。

そしてまさかあそこまで自分の立場を理解していていたとは…。意外と図太いw。

ただやっぱり声優として活躍している彼女にとってあんな「言葉の暴力」は馴れたもの。

ただ、それよりも自分が『シアターフラッグ』に迷惑をかけていないかってことの方が気になり、悩むって言うのは彼女の「優しさ」で、それでいて自分は『シアターフラッグ』を抜けたくないと言う「強い」心も持っている。

あの話は彼女の心の内を見たような気がしますよね…。

そして、こんなことが沢城さんも経験しているのかなって思うと悲しい物がありますが、それ以上に素敵な仲間に囲まれているんだなと嬉しくもなります。


司格好良すぎるだろ…。そしてツンデレ過ぎるだろ…。マジツンデレスキーとしてはたまらないよ…(え?)。

ホント毎回のことなんですけど有川さんのツンデレはとても自然で最高に素晴らしい…。

鉄血宰相としての面目躍如と言わんばかりの鉄血ぶりを見せる司。それでいながら彼の言動の根底にあるのは「彼らの幸せ」。

だからこそ「役者」としての彼らを認めることはないし、止めさせようとする。

けど、無理矢理止めさせるのは彼らの「幸せ」には繋がらない。何故ならそれは自分で選んだ「選択」じゃないから。

だから全力でサポートして全力を出させて「選択」させる。

前巻で分かってはいたことですが、今巻でまたさらにそれをはっきりと認識させられますよね。そして彼のツンデレっぷりも。

そして、見せつけるのではなく黙って行う彼の優しさ…。ありゃ黒川でも惚れるわ…。

あくまで彼らの『シアターフラッグ』であって、司の物じゃ無い。でも、彼らに後悔はさせない全力を出させるって言う彼のスタンスは変えないんですよね。

そんな彼の絶妙な綱引き具合がまた…。

そして、彼のサポートで少しずつではあるけど「再出発」する『シアターフラッグ』を見ていると凄く微笑ましく感じるんですよね…。

もちろん。苦しい日々ではあるけど、彼ら一人一人が力を合わせ、協力して一つ一つ乗り越えていく姿、そして日々は彼らにとってかけがえの無い物なんじゃないかなって。

まるでもう一つの青春を謳歌しているみたいですよね。その点自信を「先生」と評した司はホント的を得ていますw。


それと忘れてはいけない牧子と巧。

いや彼らにはぜひとも結ばれて欲しい!って言うか牧子には幸せになって貰いたい!!

今巻じゃ牧子がヒロインでしたからね…。STAGE.-1なんてもう…。

何年も何年も報われない恋をしている彼女にとって千歳の存在は簡単に認められることのない存在のはずなのに彼女は許し、認め、そして彼女との「芝居」を楽しんでいる。

ここが彼女の魅力なんですよね…。

恋する乙女としての気持ちは持っていながら、それ以前に彼女は「一人の女優」であり「芝居」に「巧の芝居」に恋する女性なんですよ。

だから、

――あれはもう一人のあたしだ。

なんてことを思えるし、そんな状態であっても『シアターフラッグ』にとどまり千歳を認めることが出来る。

その裏には巧の、

「俺の方が牧子を上手く使えると思う」

この発言があったから…。いや巧…。天然ジゴロ過ぎるだろ…。

そして、最も進んだ牧子の恋。STAGE.-1。

これはもうたまらなかった…。牧子も素敵だけど、お母さんも素敵すぎるんだよ…。

これが恋する乙女なのか…。と。

やっぱり彼女も乙女なんだな…。と。

もう最後の方はずっと悶えっぱなしでしたよ。ぜひとも彼女には幸せになって貰いたい…!



とまあ、一人一人の恋も深めていった彼ら『シアターフラッグ』ではありますがやっぱり彼らの心の根底にあるのは「『シアターフラッグ』そして芝居に対する愛」なんですよね。

それをひしひしと感じたこの巻でしたね…。

だからこそ、彼らを邪魔する人間って言うのが許せないし、彼らにはぜひとも幸せな日々を送ってもらいたい!

ただそんな彼らの日々を見ることが出来るのはあの一冊みたいで…。

STAGE.-1から何となく予想はしていたんですが、それでもSTAGE.0を見たときもう興奮しかありませんでしたからね!

だからこそ、次の巻への期待は高まる一方な訳で、早く出して貰いたい訳で、有川さんが大好きな訳なんですよ(?)!


やっぱり有川さん素敵だー。

しかも、『もう一つのシアター!』が出るらしいじゃないですか!もう買うしかありませんよ!!

早く出てくれないかなー。

って言うか『図書館シリーズ』まだですか?早くメディアワークス文庫で出しましょうよ!

ボクはいつまでも待ってますよ!!



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素敵な一冊をありがとうございます

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空の彼方 3

空の彼方〈3〉 (メディアワークス文庫)空の彼方〈3〉 (メディアワークス文庫)
(2010/10/23)
菱田 愛日

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ついに最終刊…。良いシリーズでした…。


あらすじは…
春。アルとソラはトラマンテ通り平穏な日々を送っていた。だが、突然事件は起きる。防具屋シャイニーテラスに営業停止命令が出されたのだ。それは、有力貴族であるアルの父が、息子を連れ戻すために出した警告だった。
ソラは店のために自由を捨てる必要はないと言うが、アルは店とソラを守るため、父とひとつの“賭け”をする。そして、長い旅になるのだが―。
不思議な防具屋を舞台にした心洗われるファンタジー、感動の完結編!

みたいな感じです。


ハァ…。面白かった…。

これで終わりなんですね…。そう考えるとね…。

いや、気を取り直して行きましょう。

非常に…。非常に良かった。

最終刊である第3巻。ここに来てシリーズ最高の作品を出してくれました。

出会いから1年経ったアルフォンスとソラ。

まだまだ続いていく二人の物語。

その最後の話。

優しかった…。そして綺麗だった…。


父の手によりシャイニーテラスが営業停止に。

その父に向き合い、ソラを守る。そのためにアルフォンスが戦います。

彼が家を飛び出して1年。つまりソラと出会って1年が経ったわけです。

ようやく彼らもお互いに向き合おうと思っていたところにね…。

今回は『愛』って言うのを凄く感じた巻でした。

ソラとアルフォンスの愛。アルフォンスたち家族の愛。

素晴らしく、綺麗な愛だけど見えないこともある。それがよく分かりましたね…。


ソラを守る。その一心で「自分ならどうなっても構わない。父を許せない」そんな思いにとらわれていたアルフォンス。

本当に痛々しくて、そして素敵でしたね…。

もちろん、怒りって感情は決して綺麗な物じゃ無いです。

でも、それがソラのためソラを守りたいその一心で起こったものだと考えると…。

やはり、この作品は綺麗って言葉が凄く似合う。

それでも、ソラのこの一言が彼の目を覚ましたんでしょうね。

「許せない人を許す事。それはきっと、とても難しい事なのだと思う。だけど、それでも許したい。私は、そう思う」

別にそのタイミングで言ったわけじゃない。それでも、どこかアルフォンスの心に残っていた言葉。

それが彼を思いとどまらせて、彼に最高の選択をもたらしたんです…。


そして、ついに語られたアルフォンスの家族。

素晴らしい家族でしたね…。

まあ、父も兄も絶対に不器用ですよね…。

ただアルフォンスだけ違うものだから余計に彼にとっては遠く、そして冷たく感じるんでしょう。

本当は心の底から愛し合っているのに、分からない、気づかないって言うのも悲しいですね…。

それでも、最後は彼らもわかり合えたみたいです。

良かった…。本当に良かった…。


でも、この作品の凄さを本当に感じましたね。

今まで出会ってきた人たち。

そのすべてが繋がるこの3巻は「人のつながり」ってものを凄く感じました。

群像劇とはどこか違う。本当に「つながって」いるとしか言いようのないです。

でも、それが本当にこの作品にあっている。そう思いました。


最後は…。最後は本当に…。

もちろんどうなるんだろうって言うのは予想してました。

それでも、嬉しかった…。感動した…。

もうこみ上げるものが止まらなかった。

素晴らしく綺麗な物語の素晴らしく綺麗な終わり。

ボクは最終巻を読むとどうしてもまだ続いて欲しいって思う気持ちがあるんですけど。

これは感じませんでした。

そんなことを感じることが出来ないほど圧倒的なラストでした。

決して、大それたラストじゃない。それでも圧倒させる。

この作品を良く表してくれたラストでした。


ソラとアルフォンスの日常はまだ続いてく。

そして、アルフォンスの旅はこれからも続く。

そして、ソラはこう微笑み続けるんでしょう。

「おかえりなさい」

と。


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↑ありがとう

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陰陽ノ京 月風譚 弐 雪逢の狼

雪逢の狼―陰陽ノ京月風譚〈2〉 (メディアワークス文庫)雪逢の狼―陰陽ノ京月風譚〈2〉 (メディアワークス文庫)
(2010/08/25)
渡瀬 草一郎

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いやいやいや。シリーズ化だよ。シリーズ化だよ。

本編の方は凍結気味だけど、こっちがシリーズ化してくれるんなら言うこと無いです。

まあ、両方が並列して進んでくれたら最高なんですけどね。

贅沢は言わないです。欲しがりません勝つまではです。


あらすじは…
摂津の地にて、安倍晴明が遭遇した妖、“白山”。霊峰と同じ名を持つ猛き気性のその妖は、京を舞台に陰陽寮の道士達を襲いはじめる。
まず難を受けたのは、陰陽寮の若手、住吉兼良。その同僚たる賀茂光榮と、清良の兄である住吉清良の二人は、憎まれ口を叩きつつも共に調査に乗り出すが……
陰陽寮との間に古い因縁を持つ獣、そしてその裏で暗躍する怪しい影。獣と人とを結ぶ絆を前に、光榮は何を思うのか――
若き陰陽師達の活躍を描いた「月風譚」待望の第二幕!

みたいな感じです。


まった面白いもの書いてくれちゃって。

このシリーズは本編もこっちも安定した面白さがありますね。

非常に面白かった。何というか、やけにライトノベルっぽかった感じがありますね。

ん~。面白いもんですね。

電撃の本編はラノベっぽくなくて、MWのこっちはラノベっぽい。

まあ、主人公の性格もあるんでしょう。

光榮って凄く少年漫画の主人公ですからね…。


『黒方の鬼』を読んだ時は、本編を読んでいなかったんですが、読んで無くても面白いと言ってもやっぱり読んでいた方が面白いです。

でも、『黒方の鬼』を読んだ時は確かに本編の存在ってものを感じはしなかったですね。

まあ、保胤がフラッと出てきて、会話した辺りくらいかな?

と言うことは、極力1巻では感じさせずに、知らない人にも楽しめるように。

2巻からは1巻のあとで本編読んだ人にも楽しめるようしっかり織り交ぜていこうってことなんでしょうか?

優しい先生だ…。渡さん。あなたは作家の鏡ですよ。

と言うことで、ガッツリ本編と絡んでいたこの巻。

時継と保胤が見ることが出来て凄く満足です。

しかし、二人は相変わらずみたいです…。

周りのみんなも色々と気にしてくれているのにね…。

あの保憲にあそこまで言わせるなんて。

やはり吉平と貴年の方が…。あいつらは本当になんなんだ…。


んで、めちゃくちゃ主人公やってる光榮。

凄かったですよ?驚きの主人公気質でした。

いや、保胤よりも主人公だなとは思っていたけどここまでとはね。

だって、狼とやり合っているんですよ?しかも、凄く楽しそうに…。

何というか本当にじゃれ合っている二匹の獣でした。

でも、凄く彼っぽかったですけどね。

相変わらず良いキャラクターを持ってくる…。

そして、山野の妖たち。

まさかの再登場でしたけど、ホントものっそい奴らですね…。

前巻もなかなかにインパクトがありましたが、本当に自由な妖達だ…。

楽しい奴らですよ。


そして、このシリーズのラスボスになりそうな水魚。

そう言えば、ラスボスらしい人物って本編では登場していないですよね?

だから、結構続けるのが難しいし、書きたい時に書くって感じなんでしょうか?

しかし、こいつがタチが悪い。

『自由』な外法師なものだから、なんでもかんでも自分が楽しいようにやらかす。

はっきり言って、悪よりもタチ悪くて、気味悪い。

最初からシリーズ化するって言うのは決めていたんでしょうか?

山野の妖もそうですし、守屋八尋とか。

出来る限り続いて欲しいです。


今回は光榮・兼良の共闘を見ることは出来なかったんですが、彼らの関係は垣間見えましたね。

やっぱ避けてるんですね、光榮が。

まあ、彼みたいな奴からしたら苦手な奴でしょうし、何より似ていますものね。

それを認めたくないんだなって言うのを凄く感じます。

でも、兼良って絶対に裏切らないですよね。

裏切りそうな感じを出しながらも、裏切らない。それが兼良。

でも、渡さん彼の使い方が凄く上手い。

裏切らないだろうって思ってはいても、もしかして?って思わされてしまう。

それが悔しいです。


まだまだ続きを出してくれそうなこのシリーズ。

本編のキャラクターたちも存分に動いてくれそうですし、もう分けて考えることは出来ないですね。

どんどん出していってもらいたいです。

でも、出来たら本編も出してくれないかな?なんて。

やっぱり、時継&保胤に決着をつけるには本編が一番だと思うので。

お願いしますね。


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↑やっぱこのシリーズ大好きです

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バカが全裸でやってくる

バカが全裸でやってくる (メディアワークス文庫)バカが全裸でやってくる (メディアワークス文庫)
(2010/08/25)
入間 人間

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結局買ったバカ全裸です。

なんかいるまん担当のハゲイが担当じゃなくなってる気がするな~。


あらすじは…
僕の夢は小説家だ。そのための努力もしてるし、誰よりもその思いは強い。お話をつくることを覚えた子供の頃のあの日から、僕には小説しかなかった。けれど僕は天才じゃなかった。小説家になりたくて、でも夢が迷子になりそうで。苦悩する僕のもとにやってきたのは、全裸のバカだった。大学の新歓コンパ。そこにバカが全裸でやってきた。そしてこれが僕の夢を叶えるきっかけになった。こんなこと、誰が想像できた?現実は、僕の夢である『小説家』が描く物語よりも奇妙だった。

みたいな感じです。


あ~。これはどういって説明すれば良いんだろう?

正直に言わせてもらうと、小説としてはあまり面白いとは感じなかった。

でも、こうも言える。この作品は素晴らしいと思う。


ここまで複雑な気分にさせられた小説は初めて。

複雑な気分と言っても、色々な感情がごちゃまぜになっていると言うのとは違って。

何て言えば良いのかな?この作品に対する評価に凄く困惑している自分がいる。

そんな感じです。

最初に言ったように、小説として素直に面白いとは残念ながら感じることが出来ませんでした。

これを読んでいる最中、何故か頭の中がこんがらがってまともに読めてなかったんです。

何を言いたいのかは分かるけど、何を書いているのかって言うのは分からなかった。

そして、この物語は何も始まっていないし、何も終わっていない。

それも、困惑させた一つの要因なんだと思ってます。

ボクがこの作品のあらすじを知って想像していたのは、入間さんの自らのことも含めたある作家の物語です。

でも、そんな物じゃ無かった。何というか、作家達の物語ではあるけど…。

ん~。難しい。これだけ読んでいるとただこの作品が面白く無いって一言で終わってしまう。

一番言いたいのはそれじゃないんですよ。

この作品は面白く無いって感じる人の方が少ないと思います。

そして、ボクも普段感じる面白く無いってものとは全く違う感じ方なんですよ…。

本当に言い表せる言葉が無い…。

感じる物があった。…そうでもない。

考えさせられた。…これも違う。

本当に何て言い表して良いのか分からないです。

でも、この作品が素晴らしいって言うのは心の底からの気持ちです。

少なくとも、この作品を読んでボクは何かをもらった。

入間さんから何かを受け取った。

こんな「小説の面白さ」以外で小説から受ける感情って言う物が無いから、その『何か』を言い表すことは出来ないんですが。


本来なら一章ごとに感想書くべきなのかも知れないですが、今まともに書ける気がしないので。

正直な話をすると、これは一章ごとに短編として繋げるって形は取って欲しくなかったです。

二章、三章と意味は分かるものの、何にも面白みをボクは感じることが出来なかったんですよね。

特に二章は。あれだけ読んでいると本当に何を書いているのか分からなかったんです。

読むのさえ億劫でした。

それも一章が自分の思っていたとおりの雰囲気で面白さだったものですから。

でも、読み切った今なら全然違う感想を持っているんですよね…。

ああ。本当に難しい。どういえば良いんでしょうか…。


ボクのこの話はあとがきで作者××××××が言ったとおりなんだと思ってます。

一章の甲斐抄子の発言と推薦文から考えて。

本来ならそれに気づいて鳥肌が立つなり、衝撃を受けるなりしてもおかしくないんですがそんな余裕がボクには無かったんです。

おそらく、読み返してみると素直にこの作品を読むことが出来るんでしょうけど…。


ボクはホント子供の頃からの夢があるんです。

それは他の目指している人のようにご立派な目的があるわけじゃなくて、ただ世間では『立派』な職業だし、金が儲かる。

それだけの理由で小学校に入る前からずっと持っていた物なんですよ。

まあ、今考えるとどういうガキだったのかって話なんですけどね。

でも、夢なのは確かだし、ボクはそれが恥ずかしいなんて思っていないです。

その夢は毎年毎年自分の中で確かな物になっていくんですよね。

だからこの作品の『バカ』たちの話は凄く衝撃でした。

ボクは一度も小説家になろうなんて考えたこともないし、これからもなるつもりもないです。

でも、何故かこいつらの気持ちが凄く分かる。

「なれんかったらなにするの?」

これ読んだ時凄く衝撃を受けました。

いや、自分の夢は本気で努力すれば叶うものなんだけど、それでも凄く心に響いたんです。

自分がなれないってことを想像したことも無かったんですよ。

なれないって可能性は0じゃない、むしろ世間から言わせるとなれるって思い込んでいるのもおこがましい。

それでも、ボクは死ぬ気で努力すればなんとかなる。

でも、こいつらは死ぬ気で努力しても叶わない可能性の方が高い。

それを考えたら、何とも言えない気分になったんですよね…。


本当入間人間って言うのは凄い作家です…。

面白いって感じる小説は正直に言うと、腐るほどある。

ぶっちゃけ、このブログ始めてから面白いって言葉を何度言ったか分からないですし。

でも、心に残る作品。しかも、作品の持つ面白さ以外で無理矢理に心に残っている作品って言うのは少ない。

その数少ない作品がこれなんですよ。

って言うか、これ以外にそんな図々しく素晴らしい作品無いですよ…。





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↑入間人間はとんでもない本を書いてくれましたね…

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