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花咲けるエアリアルフォース

花咲けるエリアルフォース (ガガガ文庫)花咲けるエリアルフォース (ガガガ文庫)
(2011/02/18)
杉井 光

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あらすじは…
戦争で街を焼かれ、家も学校もみんな失ったぼく。東京の中学校に転校する当日、ぼくを迎えに来たのは、桜色に輝く不思議な飛行兵器とそのパイロットの少女、桜子だった。「乗れ、お前の翼だ」――桜とリンクした戦闘機の適合者として選ばれたぼくは、桜子とともにその超兵器《桜花》のパイロットとなり、色気過多の先輩や凶暴な空母艦長に囲まれ、新しい仲間と災難続きの訓練、そして激化する戦争に否応なしく巻き込まれていく。時を止め、永遠に舞い散る桜とともに、戦空を生きる少年少女の、美しくもせつない物語。



みたいな感じです。



ライトノベル史上最も美しく、衝撃的な、戦争【ボーイ・ミーツ・ガール】物語、か…。

この帯に間違いは無かった…。


うわ…。本当に感想書きにくい…。とりあえず思ったことを書いていくことにします。

まず思ったのは、儚くも、美しい物語ってこういう事を言うんだろうな…って。

場所は日本。時代もおそらく現代と同じ。だけども、何か違う。

この日本では東と西で『戦争』をしている。

それは内戦でも何でもなく、本当に『戦争』を。

だからこそ、この作品では終始緊迫した空気が流れているし、戦争って物がごく当たり前の物になっている。

そんな空気でたまに描かれる日常や彼らの何気ない会話。

その一つ一つがたまらなく苦しく感じられてしまう…。

そんな風に少しずつシフトしていく作品は良くあるかも知れないけど、この作品に限っては最初から絶望、と言うか哀しい未来しか待ってないと言うのがはっきりと感じられる物だからその苦しさが余計…。


この作品は『神様のメモ帳』の作家・杉井光さんの作品なんだけど、彼の主張って言うか考え方がはっきりと表れているなってそんな印象。

それを最も表している言葉が、

『靖国で!』

と言うこの言葉。

『神様のメモ帳』でも少佐が言っているこの言葉。自分自身は軍国主義者(って言うのかな?よく分からないけど)でも全然無いんだけど、この一言で表されている思いって凄く多いんだろうなって思った。

戦争で死んだ者は靖国へ還ってくる。

この考え方は戦時中からあるものなんだろうけど、この作品に限れば本当に魂が還ってくる。

だからこそ、死にたくはないと言う思いは持っていても、彼らの中で死ぬと言う事は最悪の結果じゃない。そんなとらえ方をしている気がします。



圧倒的な攻撃力を持ち、敵を殲滅する《桜花》を駆使する彼ら桜花特別攻撃隊。

基本的に戦闘シーンは淡々と状況を説明している感じで進んでいく物だからたまに描かれる彼らの苦しみや哀しみが一層辛い物になるんですよね…。

圧倒的な力を持ちながら、防御にしか使えない。攻撃へ転ずることは出来ない。

そんなもどかしさを感じながら彼らは人を殺す。まるでゲームのように。

そして、そのゲームの一番の特徴は撃墜した敵機たちの苦しみまでも感じ取ってしまう。

だからこそ、彼らは悩み、苦しみ、哀しむんだけど、それでも自分たちの国を護るために戦う。仲間たちを護るために戦うんですよ…。

そんな彼らだけど、でもやっぱり普通の中学生で、男の子で、女の子で、普通の少年少女なんですよ…。

それがはっきりと分かる学校のシーンや桜花部隊たちのじゃれ合いととか、希望無い現実で唯一の光のように感じたんだけど、それすらも砕けていく…。



そして、衝撃のラストシーン…。

これは背筋を走る痺れが止まらなかった…。

でも、これはやっぱりハッピーエンドなんだと思う。

彼らにとって『靖国』は還る場所であって、帰る場所でもある。

もし時間が止まってしまえば彼らと出会うことは出来ないけど、『靖国』に帰ってくれば彼らと一緒にいることが出来る。

そして、たくさんの仲間たちと共にいることが出来る…。

靖国には戦死者が帰ってきて奉られる。

それはもちろん分かっていることだけど、この作品を読んでそうした考えが生まれた意味がはっきりと分かった気がする。

やっぱりそうでも言ってないと不安で不安で仕方ないんですよ。そして、残された方は悲しくて悲しくて仕方がない。

だからこそ、「死んでも一人じゃない」、「彼らはみんなと一緒にいるんだ」。

そういう風に思って無いとやってられない。そう感じました。


ただ気になるのは続きはどうなるんだろう…?ってこと。

結構綺麗に終わっているし、これ以上あるんだとしても希望ある未来ってのがあんまり望めない気がするんですよね。

そうは言っても、この世界でまだまだ語られていないことは多いですし、続きが書けるであろうのも事実。

個人的には、これで終わって欲しいって思いともっとこの作品を読んでいたいって思いが半々なんですよね…。

何にせよ。この作品好きですね。やっぱり杉井さんは凄い…。

まだまだ読んでない作品があるので読まないとなー。




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コップクラフト3 Dragnet Mirage Reloaded

コップクラフト 3 (ガガガ文庫)コップクラフト 3 (ガガガ文庫)
(2011/01/18)
賀東 招二

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ついに発売賀東昭二完全新作です。
やった…。3巻ばっちし出てくれたよ…。
残念ながらやや短めではあるんですが、それでも良いです。


あらすじは…
サンテレサ市警特別風紀班の異世界美少女剣士ティラナ・エクセディリカ。相棒、敏腕刑事ケイ・マトバ! 今回の事件の舞台は、高級住宅地クィーンズバレーの裕福な家庭の少年少女が多く通うシャーウッド高校。その生徒の全裸死体が発見された! ティラナとマトバに与えられた任務とは、なんと高校に潜入しての囮捜査! ティラナ、大胆不敵にも制服姿でシャーウッド高校に「転入」? サンテレサ市にシリーズ最大の大騒動が巻き起こる! 全ライトノベルファンの話題必至、いよいよ完全新作でお送りするポリスアクション第3巻!

みたいな感じです。


○EP.04 Do THE RIGHT THING いつわりの千の顔


賀東さんの本領発揮…。

いやただの潜入だとは思ってはいなかったけどこんなに重い展開になるなんて…。

出てくれて良かった。ホント賀東さんありがとうございました。

表紙や口絵を見る限りめちゃくちゃティラナが可愛いんですけどもね…。それだけで終わらせてくれないのが賀東さんか…。


今巻から完全新作ってこともありかなり期待されたこの巻ですがリニューアルの「ティラナの容姿」をフルに活用すると言う素晴らしさ。

いやさすがだw。

最初の方はばっちりとニヤニヤさせてくれるんですよね…。後はどうかはアレですが…。

だって非常にティラナが可愛い。ハンパなく可愛い。

あの最初のパンチラシーンはいかんでしょう…。えがった…。

ティラナはセマーニ人なのに地球人(ドリーニ)のラブコメを非常によく分かっていらっしゃる…。これもケイの指導の結果かな。…言ってて凄い違和感あった。

とは言え、こんな展開があったものだからね…てっきりある程度はそう言う感じになるのかとは思ったんですけどね…。

ただ、物語の始まりがあんな事件ですから。それも無理な相談かも知れません。

でもなー。ティラナが可愛すぎるんだよなー。

「いやらしいことを言うな、ばかー」

ここはね…。もうね…。たまらんね…。ドキドキする姿が可愛すぎるでしょ…。

あとついでにケイも可愛かったですw。



話の展開は非常に重い物。

ハードボイルドなファンタジーだけあって犯人や展開などは読むことが出来る物のそれ以上にリアルで、緻密な設定で作り込まれているんですよね。

だから面白い。

読んでて衝撃を受けるような展開でありながら、所々でライトノベルらしい味付けが加えてあって非常に読みやすいんです。

そして。読めるとは言っても最後の最後。ラストは全く読むことが出来ないと言う素晴らしさ…。

なまじ展開が読めていたもんだからそれを良い意味で裏切られたときの衝撃はハンパじゃない。

そしてそのラストの重さがまた…。


今回の話の根底にあったのはティラナの気持ち…。

地球にたった一人で刑事として働く彼女。ケイやトニーなど気の良い風紀班の連中に囲まれてはいるけど、やはり彼女の胸の内にあるのはたった一人のセマーニ人という事実。

そして、「仲間」や「同僚」は出来ても「友達」はいなかったんですよね…。

だから『彼』を「容疑者」、「敵」として見ることが出来なかった。あくまでその前に「友達」だったんですよね…。

その思いが『彼』を救いたい、「敵」だとは思いたくない…とティラナを思い悩ませる。

これが彼女にとって良いことだったのか悪いことだったのか…。

でも、彼女は一人じゃなかった。彼女の側にはケイがいた。

彼の「優しさ」を凄く感じるラストではあったけど、それでも今後の彼ら。特にティラナの心に大きく影響を与えるラストだったことには違いないはず。



そして毎度思う事なんですが本当にイラストが素晴らしい…。

普通のラノベのイラストとは違うタッチで描かれているから、シリアスなシーンを描いたときの印象が凄い。

あの絵は本当に素敵ですよ…。

特にラストのティラナの涙。

あの一枚でまた一つシーンに深みが加わったように感じます。

あとはアレですね…w。Bonus Trackです…w。

毎度毎度のことですが賀東さんはホントにもう…w。あ、イリーナ嬢でしたっけw。

良いですよねこんなハリウッド女優さんいたら。もう大ファンになっちゃいますよ。

海外でドラマ化しないかなぁ…。



さて4巻は明るめの2作になる模様。

明るくても暗くてもどちらでも良いので賀東さんぜひお早めにお願いしますw。



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賀東さんありがとう…

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ブラック・ラグーン2 罪深き魔術師の哀歌

ブラック・ラグーン 2 (ガガガ文庫)ブラック・ラグーン 2 (ガガガ文庫)
(2011/01/18)
虚淵 玄

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まど☆マギで絶賛虚淵ワールド発動中虚淵玄と超大人気ガン・アクション漫画ブラック・ラグーンのコラボ作品第2弾。
やっと出たよ…。10月発売って言われながら結局1月だったよ…。
ただ、虚淵さんの仕事具合を見ていればしょうがないのかな…とも思ってしまいますがw。


あらすじは…
月刊サンデーGX連載中のガンアクションコミック『ブラック・ラグーン』を超人気シナリオライター・虚淵玄が完全オリジナルで小説化する、大ヒット企画の第2弾! 舞台は再び、無法者の街・ロアナプラ――その、世界的にも例を見ない悪の「緩衝地帯」で、米・CIAが、遂行しようとする秘密計画とは? さらに、中国マフィアはどう動き、ラグーン商会は何を狙う? 一つの事件を様々なキャラクターの視点から描き出す、まさに外伝ならではの胸躍る構成。『ブラック・ラグーン』オールスターズのそろい踏みを堪能せよ!!

みたいな感じです。


いやたまらんな!

本当に虚淵さんは良い仕事をしてくれる…。やっぱり大好きだ!!

前作では外伝らしく、エロいシーンで楽しませてくれ…って言うかレヴィのボンデージを虚淵さんが見たいがために書いたんじゃないか?ってくらいの作品で(読者歓喜)、今回はまた違う形で外伝としての面白さを追求してくれてます…。

一人一人のキャラクターの一人称で切り替わり切り替わり物語が進んで行くって…。

マンガじゃそれぞれの心情なんてはっきり見ることは出来ないですからね…。その点本当に虚淵さんはノベライズってものが分かっていらっしゃる…。

その上、いつもの如くラグーン商会が発端となると言う展開ではなく、前巻では張さんとバラライカ、今回はエダとロットンという最高のキャラクターを中心に据えると言う最高の外伝…。

唯一文句があるとしたらページ数が少ないことですかね!

短い割にちょっとお値段がお高いよ!!



何人にもなびかず、ただ混沌を生み出す街・ロアナプラ。

ここでまたさらに混沌を生み出す要素が続々とw。

9巻でラブレス家編が終了した後の物語として描かれたこの『魔術師の哀歌』。もう最初から最後まで最高潮でした!

初っぱなからやらかしてくれるロットンに、今までマンガで描かれることの無かったエダの『裏』の顔、そして仕事。

これを見せられてテンションの上がらない原作ファンはいないはず…。

マンガでは描かれていない設定や展開を利用し、それでいて今後のマンガに影響を与えないこの絶妙な加減…。

いや本当に虚淵さんは素晴らしい仕事をしてくれました…。


CIAのお偉方に振り回され、混沌の街ロアナプラに翻弄された糞尼・エダ。

そして、『魔術師』と言う役回りで今回の話の中心へと(まさに)躍り出てきたロットン。

この二人に焦点を当てるとか虚淵さんは本当に分かっていらっしゃる…。

決して思ったとおりには動かず、とりあえず場をかき回すだけかき回していくロットンのピエロっぷりは健在w。なものだからエダは振り回される振り回されるw。

そんなエダが可哀想で可哀想で仕方がありませんよ…w。

その上、しっかりとキャラクターたちを掘り下げてくると言う素晴らしさ。

ここに来て、ロットンが銃を抜きながら銃を撃たない理由が明らかに!?

ただね…。読んだ感じだと今後も彼が撃つことは無さそうだ…w。

あんな(ロットンにとって)たまらない展開であっても、浮かんでこなかったってことは今後も命名されることは無さそうだな…。

そして、ソーヤーやMr.ニンジャやらね…。もう素晴らしい掘り下げよう…w。

ここまで世界観を保った上に、さらにキャラクターを掘り下げるなんて本当に良い仕事をしていただいた…。



外伝ってこともあり、原作や前巻ほどのシリアスさや流血はなく、比較的コメディタッチだった今巻。

これがまた面白い…w。大体のオチは大抵の読者なら分かるであろう物の、それを理解した上でその斜め上を行ってくれる素晴らしいオチ。

やっぱりこの外伝たまらない…。

それでいて、ロアナプラの雰囲気を完全に保ちながら、ブラック・ラグーンのシリアスさをしっかりと出してくれています。

特にロックのキャラクター。

ここに来て、あの『ロック』を描ききることが出来るのか!?と…。

こんなコメディタッチな展開でいて、自らの命までもベットし、ロアナプラという街そのものに賭を挑んだ『ロック』の姿は見ていて戦慄を覚えました。

そして、張さんやバラライカの『ロック』かける「期待」にも。

『この街が奴を『ロック』にした。あいつこそ本当の意味で、ロアナプラによって産み育てられた男なのさ』

張さんやバラライカなどロアナプラに来た時点で『彼ら自身』であった人間にとっては彼のように「産み育てられた」人間は好奇心を覚えてしょうがない…。

そんな『好意』なんて言う『ブラック・ラグーン』らしからぬ感情を『ロック』に抱かせた理由までここで描かれている…。

これを読んだとき心底虚淵さんを尊敬した。

ここまで原作を読み込んで、ノベライズを完璧にしきっている作品は無いと思うんですよね…。

そして、彼がどれだけ原作を愛しているのかって言うこともまた感じられました。

もしこれが廣江さんが提供してことであっても、それだけ彼らの信頼関係が深いと言うこと。

断言できますよ。このノベライズは過去最高の傑作です。



んで、最後まで読んで分かった結論。



エダ可愛いよエダ。





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素晴らしかった…

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とある飛空士への恋歌 5

とある飛空士への恋歌 5 (ガガガ文庫)とある飛空士への恋歌 5 (ガガガ文庫)
(2011/01/18)
犬村 小六

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ついに…。ついに出てくれた恋歌シリーズ最終巻…。
これほどまでに発売を心待ちにしたことはありません…。本当に待ち遠しかった…。
広島に住んでいることをこれほど悔やんだことも…。
そんなこのシリーズもついに最終巻!最高のラストへいざ!!!

あらすじは…
イスラとの休戦交渉の座についた空の一族の要求は、風呼びの少女ニナ・ヴィエントの身柄だった。イグナシオの取りなしにより機会を得たカルエルは、出立の日、思いの丈を彼女にぶつける。「このまま逃げよう、クレア。二人で。空の果てまで――」かつての力を取り戻し、愛すべき人を救った風呼びの少女。革命によりすべてを失い、追放劇の果てにかけがいのない生を得た元皇子。すべての謎が解き明かされる! 超弩級スカイ・オペラ「恋歌」、感動のフィナーレ!!

みたいな感じです。


素晴らしい最終巻だった。そして最高で至高の最終巻だった…。

読む前は色々な思いが渦巻いていたんです…。今回はどんな空戦が繰り広げられるんだろう?どんな感動を得ることが出来るんだろう?そしてどんな最終巻なんだろう?

今回も泣くのかなー?とも考えてました…。

でも見事に裏切られましたよ…。

泣くなんてとんでもない…。笑みしか浮かんでこなかった…。

読んでる最中、色々な感情が渦巻いて仕方がありませんでした。

「空の果て」と言うここに来て最大級のワクワクを与えてくれるロマン。焦燥感を与えながらカルとクレアの恋物語。笑みを与えてくれる帰還を果たした彼らを迎える様々な人々。

そして、もちろん所々で思い起こされるこれまでの彼らの旅や仲間の死。これでどうしても悲しみが沸き上がってしまう…。

でも。そんな場面を迎えても涙を流すことはなかった…。何故なら彼らの全員が前を向いていたからです。

そんな様子に悲しみ以上の喜びや嬉しさを与えて貰いました…。ありがとう…。


前巻、前々巻と凄まじい空戦を繰り広げ、大勢の死をもたらしたこの「空の果て」を目指す物語。

今回は最初から最後までクライマックスでした…。もう身体を巡る痺れが切れることはありませんでしたよ…。

ニナ・ヴィエントを巡るイスラ側と空の一族の机上戦で始まったこの物語。ここからもう完璧にクライマックスでした…。

全権を与えられ、たった一人「空の一族」と対決するアメリア。

クレアの「生贄」に対して何一つすることの出来ない彼らのもがきとクレアに向けた気持ちのすべて。

もう興奮が止まりませんでしたよ…。

圧倒的に不利な状況の中で敵の機微を見逃すことなく、敵の全容・状況・目的・手札などを推測し、そしてカードを切るアメリアさんの手腕は本当に凄まじかった。

今までも数々の活躍は見せてくれた彼女ですが、ここまでの力を持っていたとは…。本当に輝いていた。

そして、彼女はこれ以上ない決着を…。


それは分かってる…。分かってるんですけどね…。

それでもやっぱりクレアの「生贄」は納得することは出来ない。それは彼らも同じ。

1年近くに渡り共に「空の果て」を目指してきた仲間。仲間の死、そして数々の空戦を越えてきた仲間。

カルにとっては長年にわたる復讐の標的であり、それ以上に愛する女性でもある。

そんな彼らにとって彼女を空の一族に渡すと言う事は自分の身体を傷つけられる以上に苦しく、悲しく、耐え難いことだったはず…。

たった一人の「生贄」を送ることは、イスラ、そしてイスラに住む1万以上の人々を救うことに等しい。

それが分かっているからこそ、何度も、それこそ本当に何度も何度もクレアと共に空へと逃げ出したいと言う気持ちをカルは押さえつけていた。

でも、それでもこらえきれない思いをぶつけるためカルは動き、アリエルは動き、イグナシオは動いた。

その結果のあのシーン…。

あれはもう本当に素晴らしかった…。涙が出そうでしたよ。

でも踏みとどまりました。彼らが悲嘆に暮れていない、どころか前を向き、幸せな未来を見据えているのに読んでるだけのオレが泣くわけにはいかない…。泣くのなら彼らが再びあったときだ…と。

「待ってる!!」

この言葉とこの一片の曇りもない笑顔…。美しかった…。本当に美しかったです。

見ることは出来ないですが、彼らが二人で見つめていたイスラの空もこんな綺麗な曇りのない空だったのかな?なんてことを考えていました。


そしてね…。忘れちゃ行けないツンデレくんの活躍…w。

もうにやけるしか無かったよ…w。大事な場面なのに、それを感じさせないいつも通りのイグナシオ。そしてそれにつられるカルやアリー。

彼らが涙を浮かべることなく一度の別れを迎えることができたのは彼の存在が確実にあります。

うん…。しっかり寝て、カルが迎えに行くまでしっかりとクレアを守れよ…。



そしてここから始まる最後の旅。「空の果て」を目指す旅は始まり、終わりを迎える…。

凄かった…。いやもうこの言葉しか浮かんできません。

圧倒的な質量を持つ「空の果て」、そして世界の真実。

もうこれ読んだときどんな気持ちだったかなんて覚えてませんよ…。それほど衝撃で、衝撃で…、最高だった…。

そうなんですよね…。「空の一族」との戦いですっかり頭から消えてましたが、この物語は「空の果て」を目指す物語。

それをはっきりと思い出させてくれましたよ…。

次々と回収されていく伏線の数々。そして、「世界の真実」。

これが分かったとき、もうワクワクしか心にありませんでした…。これぞ超弩級スカイ・オペラの真髄…。

そうなんですよね…。空戦や恋物語だけじゃない。この素敵な世界観にロマン溢れる設定。

このすべてが合わさって「飛空士」シリーズが構成されている…それを思い知りました。

それでいて、繋がってくる「追憶」に、幽かながらしっかりと確かな役割を持って登場するキャラクターたち。この絶妙な加減がたまらない…。

あくまで「追憶」は完結した作品。でも、確かにこのシリーズと繋がっているんだって言うのを知らしめてくれますよね…。

そして「空の果て」…。

犬村さんの圧倒的な筆力で描かれたこの「空の果て」。もうスケールがでかすぎる…w。

思い浮かぶようではっきりとは思い浮かんでこない。はっきりと情景は分かるんだけど、想像だに付かない。

ああ…。ここはぜひとも映像で見たい!

あの圧倒的な迫力の空戦に、人の「死」。そしてこの「空の果て」…。

あー!!!アニメ化してくれ!!


カルの綴るクレアへの恋の歌…。恋の演説とも言いますが…w。

これは本当に凄かったな…。いや確実に民衆とは違った興奮が自分の中を確実に駆け巡ってましたよ。

だって…。自分の恋で世界中を巻き込むなんて…。

素敵すぎるだろ!!!

もうここまで来るとにやけしか浮かんできませんでした。もうこいつ最高すぎる!!

一言ごとにボルテージの上がっていく民衆。次第に自分の思いが止まらなくなっていくカル。

その様子を見ていてもう…w。

「僕はニナ・ヴィエントを愛している!」

本当にカルは成長してないよ…w。もちろん、ヘタレは減ったし、男らしくもなった。けど、根っこの所は変わってない。

結局彼はわがままなんですよね…。こんな壮大な恋物語を「わがまま」の一言で済ませるのは自分でもどうかと思いますが…w。

そんな壮大で素敵で最高の「わがまま」が世界を動かしたんです。実に人間くさいじゃないですか。



一つ一つの出会いと別れ。これがまた…。

福原家。彼らとチハルの出会いはやはり涙無しには読むこと出来ませんでした…。泣くまいとしたんですけどね…。

今まで我慢してきた物を抑えることが出来ませんでした。

やっぱりミツオはこの物語の大きな転換点でした…。そして最後まで忘れることの出来ない大きな出来事でも…。

こみ上げる気持ちを抑えることが出来ませんでした…。

そして、アリーの覚悟と決意。

口絵にもあったこの言葉。

――歌えない恋の歌もある。

恋の歌。アリーが心の底で何年も何年も暖め紡いできた歌。その中身はきっと素敵で、甘美で、カルに対する思いで一杯だったはず…。

何年も何年もカルを最も近い所で見守り、支えていながら、彼女の恋歌がカルに届くことは無かったんですよね…。

そんな彼女の想いを考えると…。

カルに文句をぶつけ、喧嘩し、微笑み、送り出すアリー。頭に浮かんできます…。

そんな恋の歌をのみ込み送り出す彼女がこの物語で最も美しく、切なく、哀しかった。


読み終わった後、表紙のカルを見返した瞬間こぼれていたのは涙でした。



何ででしょう?大好きな、大好きなシリーズが終わってしまったのに残念な気持ちが心のどこを探しても見つからない。

完全に心の中を奇妙な心地よさが占め尽くしてます。

こんな経験初めてかも知れません…。

最後の最後まで素敵なスカイ・オペラを描ききってくれた犬村先生。そして5巻の表紙を涙をこぼさずには見られなくしてくれた森沢先生。

ありがとうございました。ここまで素敵で綺麗な物語を見ることが出来た自分は幸せです。

そしてどんな形でも良いのでまたお二方の作品が見ることが出来る日を待っています。



切なく哀しくも、儚く綺麗な最高のスカイ・オペラ。ここに閉幕です。




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されど罪人は竜と踊る 9 Be one the Next Victim

されど罪人は竜と踊る9 (ガガガ文庫)されど罪人は竜と踊る9 (ガガガ文庫)
(2010/07/17)
浅井 ラボ

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され竜の9巻です。ええ、長いです。


あらすじは…
アナピヤを失いジヴーニャと別れたガユスは、傷心を抱えエリダナの夜を彷徨い、強敵ユラヴィカを失ったギギナは、剣の方向を見失う。そんな中、最悪の殺人者で〈ザッハドの使徒〉であるアンヘリオがエリダナに現れ、血の祝祭を開宴。使徒を迎え撃つために、ついに最凶の咒式士であるパンハイマとその一団が動き、聖女ペトレリカが心を痛める。使徒逮捕のために派遣された特別捜査官が隠す謎とは?それぞれの思惑から共闘と不和が渦巻くエリダナに、殺人の数を競う使徒の殺人遊戯が開幕する!

みたいな感じです。


あー、ヤバイな。相変わらずのされ竜。

重いし、エロいし、くっそ長いし。

それでも面白い。うん面白い。

まあ、例によって前の話とか、そのまた前の話とかうっすらとしかおぼえてないんですが。

でも、面白かった。

今までもたまに出てきた殺戮王ザッハドと〈ザッハドの使徒〉が本格的に登場。

そして、最大の敵・パンハイマ。

彼らに巻き込まれながらまたしてもエリダナの街は死の臭い漂う危険な状態へ。


まあ、相変わらずグロくて、エロい。

特にグロさはかなり際だってた…。

それもそのはず、そのグロい行いすべてが今回は人間の手による物ですからね…。

今までは〈大禍つ式〉や〈古きの巨人〉による行いが主だったためにそんな惨劇の中にも納得する部分があったにはあったんですけど…。

今回、引き起こすのは〈ザッハドの使徒〉たち。

だからこそ、人間の起こしたことだからこそ恐ろしい。そしてグロい…。

おそらく描写としては今までで比べてもそこまで酷くはなかったと思うんですが。

なんでだろ?心が嫌な感じで締め付けられる感覚が…。

まあ、それら〈ザッハドの使徒〉に負けず最悪の人間がパンハイマだったわけですが…。

あー、彼女ならやりかねないって言うか、確実にやってますね…。

今まで色々と登場人物が出てきたわけですけど、彼女は敵役並みに頭が逝っていらっしゃる…。

エリダナの街にいて彼女に触れることが禁忌だって言われていた理由を痛感しました。


そして、前巻でついに破局を迎えたガユスとジヴ。

この二人のお互いを思い合っているのに、それが故に別れた。その思いが凄く辛い。

その上、未だに思い合っている彼らの思いが痛い…。

ジヴが忘れられないのか分からないけど、新たな女と繋がったガユス。

なんというか、こんな時になんだと思いますけど彼のモテる理由が分かった気がします。

放っておけないって言うか、彼は心の底から自分のことを卑下してるんでしょうね。だからこそ、こう言うとありきたりですけど保護欲をそそられるのかな?

それでもやっぱりジヴのことを忘れられない彼がね…。

なのに欲には勝てない。そして女を抱く。

改めて思ったけど、この作品って登場人物がやけに人間くさいんですよね…。

彼女と思い合った末に別れたから傷心して女が抱けない。

そんなありきたりで綺麗なことをしない。

まあ、だからこそ痛いって思いが凄く伝わってくることもあるんですけど。

そして、見かけ上は立ち直った振りをして、明るく振る舞っているジヴ。

その裏で痛みをこらえて、涙を流す彼女の姿が…。

ああ…。彼女は本当に素晴らしい女性ですね…。

やはり彼女も人間くさい。それでも彼女の心の綺麗さがにじみ出ていたこの巻でしたね…。

元の鞘に収まって欲しいとは思うんですが、このシリーズだとその先が恐ろしい…。


そして、〈ザッハドの使徒〉どもがおかしい…。

彼らは本当にどうかしている。

人間であって人間じゃない。何度も何度も聞いたことのある言葉ではありますけど、こいつらほどそれを感じる奴らはないです。

今まで出てきた罪人たち、そして〈大禍つ式〉たち。

奴らは意味もなく人を殺してた。

でも、こいつらは違う。意味があるからこそ恐ろしい。

だからこそペトレイカの存在が聖女みたく思えるんでしょう。

それ以上に凄かったのはジヴだったりするんですが…。ああ…。


しかし、毎回思うんですけど…。

このエロさはOKなんですか?

そう言う単語は出はしない物の書いてることはエロ小説と比べてもなんら遜色がないんですけど…w。

これセーフだとしても確実にギリギリのラインをかろうじて渡っているレベルですよ。

まあ、その描写がこの作品のグロさを際立たせるのに一役買っていたりもするんですが…。

そして、長い…。

600ページってページ数はモチロンのことページを進めるのにも凄く時間がかかる…。

テスト期間って言うのを加味しても5日間はかかり過ぎです…。それほどまでに読むのに時間がかかる…。

別に読みにくいってわけじゃなくて、キッチリ読んで無いと全く展開が分からない上にびっしりなんでかかるんでしょうね。

それでも面白いので読むんですが。


そして、またしても上下巻構成…。

600ページやって、あれだけ濃密な内容だったのに続くのか…。

ちょっとこれから先の展開を考えるとどうも悲しい物が…。

でも、次巻が楽しみです…。




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↑やっと読み終わった…

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