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薔薇のマリア Ⅱ.壊れそうな君を胸に抱いて

薔薇のマリア〈2〉壊れそうなきみを胸に抱いて (角川スニーカー文庫)薔薇のマリア〈2〉壊れそうなきみを胸に抱いて (角川スニーカー文庫)
(2005/02/25)
十文字 青

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薔薇のマリア第2巻です。


あらすじは…
喪神街で伝説の魔道女王を葬ったマリアは、街で一人の少女ベアトリーチェと出会う。青い瞳が印象的な美少女がマリアにもたらしたものとは、儚い微笑み、極悪クランの罠、ほんのちょっぴりの強さ、そして―。エルデンの街がクラン同士の抗争にのみ込まれ、マリアに最悪の危機が迫るとき、再びZOOの仲間が立ち上がる! 義のため押し殺す愛、愛するがゆえの非情。誇り高き仲間たちが再び闘いに挑む、待望のシリーズ第2弾!!

みたいな感じです。


あー…。これは確かにダークファンタジーだ…。

ダークファンタジーとして知られているこの作品らしいけど、前巻読んだときは「そこまでダークファンタジーか?」と疑問に思ってました。

だって、ダークファンタジーって言ったらされ竜を読んでいますからどうしてもあれと比べてしまいます。

ただ、この巻を読んで確信した。これは歴としたダークファンタジー。


加虐的殺戮愛好者「SmC」。彼らの残虐さが本当に際立っていた…。

無法地帯エルデンの中にあって「悪即斬」を掲げる「秩序の番人」。

彼らの正解では無くても、間違っていない『義』が輝いていて、そして格好良かった。

悪即斬。悪が蔓延り悪行が横行しているエルデンでは決して簡単に行える事では無い。

そしてマリアが言っているように「何が悪で、何が悪でないか」なんて分からないです。

ましてやエルデンのような場所では。

それでも、自分の中の『義』を貫き戦い悪を伐つ。その姿が格好良かった。

その「秩序の番人」のベアトリーチェ。

彼女とマリアがSmC傘下の龍州人に攫われた所から物語は始まる。

その攫われている光景が本当に辛かった…。あれからダークファンタジーってのを実感し始めましたね。

そしてリーチェを意識しているマリアが凄く辛くて、でも嬉しかった。

所々で語られるマリアの過去。そこから想像される独りっきりの生活。

それを考えると今のように仲間でもない人を意識し、ましてや助けに行くなんて考えられないことなんだろうなって。


だからこそかな?マリアの「秩序の番人」を焚き付け挑発する場面は熱かった…。

会って間もない、仲間でもない人間のために自分の気持ちをぶつけているマリアが…。

「親だって言うなら、子供の代わりにお前が死ね!」

これは凄かった…。マリアの『親』に対する思いって言うのを凄い感じましたね。

それだけじゃなく、一つ一つの言葉にマリアの気持ちがこもってました。

だからこそユリカを動かし、果てには「秩序の番人」を動かす結果に繋がったんでしょう。

ただそうだからと言って助け出してはい終わりって結果にならないって言うのが辛い…。


SmC。奴らの恐ろしさ、気持ち悪さ、そして残酷さを感じさせる要因。SIX。

いやもう奴一人がそのままSmCすべてと言っても過言ではないはず。

あの惨状での奴の行動、仕草、もうすべてが…。キモチ悪い…。

そしてあの救出作戦に懸ける一人一人の気持ちを知っているからこそ余計に…。

だからこそリーチェを抱きかかえるマリアの姿が凄く印象的で…。

2巻なのに…。まだ2巻なのにこの重さそして辛さ。

もしかしたらこの先良い働きをするんじゃないか?って思わせておいて人って言う物はあっさりと死んでいく。

その反面あの男は…。

作者が憎いですね…。ここまで効果的に死を描いてくるなんて。

死が絶対の物じゃ無いこの作品だからこそ、死んだ後で救出し蘇生させるなんて『最悪』の考えが浮かぶ。

そして本当の意味での『死』という物が大きく、辛い物になる。


そして最初の方や途中の楽しげなマリアの姿や「ZOO」の面々が凄く昔のように思えるんですよね…。

この明と暗の描き分けが凄く恨めしい…。

リーチェは前のように焔のことを笑顔で話せるときが来るんだろうか?

モリーはリーチェの姿を見てどう思うんだろう?

そして、仲間の他に大切な人が出来たマリアは?


アジアンも…。彼のその後が気になって仕方がないです…。

仲間のために、「安心して一緒に昼飯を食える」連中のために辛い道を選んだアジアン。

彼の汚れて、でも決して仲間のために自らが屈することも厭わない姿が凄く格好良かった。

だからマリアのために自分、もしかすると仲間までも危険に晒したってことの大きさを痛感します。

しかも色々と気になる事は溜まっていくばかり…。

トマトクンの正体や「昼飯時」のその後。そしてもちろんアジアンも。

これから先どうなってどう明かされていくんだろう?



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